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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



翔「今年も綺麗に咲いたね?」


「ああ…。」



次の年の春も、



俺と翔はこの場所にいた。



翔「園長先生、見てるかな?」


「そうだな…。」



俺らは予め施設側に話を通し、敷地内に入れてもらうことが出来た。



身じろぎもせず、花を見ていた翔がぶるり、と身震いする。



翔「寒っ…」


「ほら、言わんこっちゃない。」



翔に俺のコートを羽織らせる。



翔「いいよ、俺は?大野さんが着てたら?」



せっかく羽織らせたコートを脱ぎ、俺の体にかけ、



そのまま肩を抱き寄せた。



「ばっ…お、お前、誰かに見られたら…」


翔「……いいよ?見られても?」


「……よかねぇだろ?」


翔「いいじゃない?大野さんが俺のものだ、ってみんなに分かるから。」


「……よかねぇ、って?」


翔「そんなことな…」


「……お前さ、いつまで『大野さん』なんだよ?」


翔「え…だって……俺より年上だし…それに……」



そのまま俺に肩を預けるように寄っ掛かってきて、



翔「世界で一番、大切な人だから呼び捨て、になんて出来ないよ。」



顔を俺の肩にぐりぐりと押し付けてきた。



「……勝手にしろ。」


翔「うん。そうする。」



俺だって……俺だってそうだよ、翔。



そんなお前だから突き放せないどころか、



……絶対に手放せないよ。



翔「また来年も来ようね?」


「……ああ。」


翔「そのまた来年も。」

「……。」


翔「そのまた次の年も……」


「…………。」



お前、それ、





ずっと……でよくね?




「花梨―唯一の恋」end.


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