笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
翔side
物心ついたときから俺はあの人のことが好きだった。
いつ、どんな瞬間に好きになった、なんて明確に言えないぐらい前から、だと思う。
あの人は俺より1コ上で、
いつも俺より前を歩いていて、
どんなに早足で歩いても、
がむしゃらに走って追いかけても追い付けなくて。
まあ、俺より先に生まれてんだから当然なんだけと。
智「あっ!!いたいた!翔ちゃーん!!」
はち切れそうな笑顔で、千切れそうなほどにブンブンと手を振る貴方。
智「もー、翔ちゃん歩くの早すぎ!」
「そんなに走ってどうしたの?」
智くんは俺の肩に掴まりはあはあと息を整えた。
智「翔ちゃん、今日時間ある?」
「急に何?」
智「みんなで花火やるんだけど一緒にやんない?」
そんなことのためにこんなに走って……。
汗だくの笑顔に鼓動が早くなる。
「い…いいけど?」
突然、腕を掴まれズルズルと引っ張られていく。
「え?ちょ…今から?」
智「ほら早く!みんな待ってるから!!」
カバンを脇に抱えたまま、智くんに引っ張られるままに俺は彼に着いていった。
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