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赤い糸

第12章 赤い糸


「ま、待って…」

「逃げんな。」

冷たい唇とマメだらけな手はいつだって私の言うことを聞いてくれない。

「本当に…ちょっ!待ってください!」

タイミングが悪いのは私…

だってこんなことになるなんて

「ホントに…」

「うるせぇ。」

想いが通じ合ったのだからこういうことになるのは百も承知なんだけど

「ダメなんです!」

彼の膝に跨がるように座って顔と顔を付き合わせて…今さらですよね。

「は?おまえいい加減にしろよ?」

言うことを聞いてくれない冷たい唇とマメだらけな手を押して

「だから…今日は…」

「あ?」

「…せ…生理…なんです。」

「はぁ?!」

そりゃ引くよね…引きまくるよね。

ブラウスのボタンだってもう半分以上開いて下着だってチラッと見えちゃってるのに

「…マジかよ。」

こりゃないよねぇ…

京介さんはため息をつきながら倒れるようにソファーにボスっと体を預け

「いつ終わんの?」

単刀直入に聞いてきた。

「明日か明後日か…明々後日か…」

そうなの…終わりかけなのよ。

「アハハ…」

「アハハじゃねぇよ。」

正直なところ出来ないわけじゃないと思う。

このぐらいの時にバスルームで…ってこともあったから。

でも、久しぶりに肌を重ねるのだから思い切り甘えたいし…甘やかされたい。

「わかった…つうか悪かった。」

京介さんは私をスッと優しく抱きしめると

「その代わりさ…明日から泊まりに来いよ。」

「…え」

「来週の終わりにはあっち行っちゃうんだろ?」

現実と向き合ってくれた。

「心配すんな。もう止めたりしないから。」

「京介さん…」

「まず夢を叶えてこい。んで、必ず俺のところに帰ってこい。」

「ありがとうございます…」

なんで今日生理なんだろう。

「お礼はいらないから一日でも早く血を止めろ。」

「それは…」

この指にこの唇に翻弄されたいのに

「止めろ。じゃなきゃアメリカ行かせねぇ。」

「そんなぁ…」

広くて逞しい胸に頬を寄せると長い腕が私を包み込む。

「明日は土曜日なのになぁ。」

「…すいません。」

本当なら一日中あなたを甘やかして

「次の日は日曜日なのになぁ。」

「申し訳ありません!」

私も甘やかしてもらうのに

「覚悟しろよ。」

「ハイ!覚悟します!」

甘くトロトロにね。

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