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赤い糸

第15章 永遠


「何泣いてんだよ…」

スマホ越しに聞こえる甘い声がボヤける。

でも その声は影を落とすものじゃないよな。

『泣いてませんよ。』

あと、数時間で愛しき人をこの腕に抱き止めることができるんだ。

『泣いてるのは京介さんの方じゃないですか?』

「あのなぁ…言ってろバーカ。」

端末を通した声じゃなくて花が咲くような澄んだ声を聞きたくて

…限界

あんなに長い時間待てたのにたった1日が凄く長く感じる。

「璃子。」

『はぁぃ?』

璃子に出会って見える景色すべてが変わった。

「空…見える?」

『見てますよ。』

コイツと同じ景色が見たくて

「そっちは晴れてるか?」

『うんと…晴れてます。』

なんでも共有したくて

「なぁ…帰って来たら…」

『わかってます。もうすぐ会えますから!』

「じゃなくて…」

俺はいつからこんなにわがままになったのだろう。

「帰って来たら結婚しようか。」

『…え。』

「しよう、じゃなくて…して下さいか。」

『…い、いつですか?』

「いつって…こういうときは素直にハイって…え?」

時間が止まったかと思った。

いや、惚れすぎて頭がおかしくなったかと思った。

今 目の前にいるのは

「ハイ‼します!」

ずっと待ち焦がれてた俺が愛した女で…

「ただいま‼京介さん!」

いつものメンバーの中から勢いよくとびきりの笑顔で走ってくる女で

「バカ!危ねぇだろ!!」

外野がワイワイうるさかったけど、力いっぱい抱きとめた。

小さくて柔らかくて甘い香りがする俺の大切な人。

「大成功‼」

「おまえらなぁ…」

俺を指さし腹抱えて笑う奴等にガン飛ばして

でも、それが何より嬉しかった。

璃子の耳元で俺はさっきの返事をする。

「今日結婚しちゃうか?」

「それもアリですね。でも…」

「なんだよ。」

胸に埋めていた顔をヒョイと上げると

「直接言って欲しいです!」

骨抜きにされてしまうような笑顔で偉そうに言いやがった。

「じゃあ言わねぇ。」

「そ、それは困ります!」

記憶喪失という大きな壁は俺たちにとって必要だったのかもしれない。

この笑顔を守るため、神様から試されてたんだな。

「ウソだよ。俺たち赤い糸で結ばれてるんだろ?」

「はぃ!」

この笑顔を守る権利を得たのは世界中で俺一人だから

…END
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