テキストサイズ

Treasure of life

第1章 Baby blue

「俺が小学生の頃さ、一時期ウチに智くんていたじゃん?」

「ええ。よく覚えてるわね」

「今、ウチの学校の美術の先生なんだよ」

「あら、そうなの?母さんも、智くんが高校の先生になったことは知ってたけど、最初の赴任先までしか知らなかったから」

「そうなんだ…。智くんてなんで昔ウチにいたの?」

母さんの家事をしていた手がピタッと止まった…。


暫しの沈黙のあと、俺の問いかけに母さんは意を決したように言った。

「いつか話さなきゃいけないと思ってたの……。



智くんは……お父さんと…前の奥さんとの子どもなのよ……」

「!!」
俺は愕然とした。

「当時、智くんは上京して一人暮らしをするから家を探してたの。その間ウチにいたのよ…。

ずっと…黙っててごめんね……」



「…話してくれて…ありがとう…」

聞いてはいけないことを聞いてしまったような感じだった。


俺は頭の中を整理した…。

てことは…、俺と…智くんは…異母兄弟……?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ