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Treasure of life

第1章 Baby blue

side O

「異動することになった」

内示が出てから潤に言うか悩んだけど、いつかは言わなきゃいけないから思い切って伝えた。

「…え…?」

潤の顔が強張る。

「…急に決まったんだ」

「どこに!?」

「○○町」

「○○町って…!何それ、遠すぎない?」

「ギリギリ都内だよ」

わざと明るく言う俺。


しばしの沈黙のあと…、

「…嫌だ…」

「…潤…?」

唇を噛み締めて、目に涙をいっぱい溜めた潤が言い放った。

「智くんは何もわかってねぇんだよっ」

「潤、待ってっ!」
潤が俺の手を振り払って走っていく。


「俺だって…寂しいんだよ…」
俺は足元にあった小石を蹴った。

それは少し先の闇の中に吸い込まれていった――……。

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