どうして私だけ…
第1章 生活
「凛花、どうしたの」
教室の奥から、友達の栞が呼んだ。
「小松原って呼ばれたけど
純奈のことだった(笑)」
栞は箒を持ったまま、ケラケラ笑った。
「いつも先生が呼ぶの、
純奈ちゃんの方じゃん(笑)」
「また掃除
サボったんじゃないの?(笑)」
凛花も、チリトリを取りに行く。
「もう、小松原って呼ばれても返事すんのやめれば?笑」
凛花も思わず笑う。
そうは言っても。
先生の殆どが、生徒が胸ポケットにつけている名札の
「小松原」の右下に書かれた、小さな
「純」か「凛」
の漢字を見て初めて
見分けがついているっえいうのに。
「ねぇ、今日部活のあと
公園行かない?」
栞の言葉に、
凛花の顔にはまた笑みが広がった。
「いいよ」