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無表情の宇野くん

第31章 宇野くんとカラオケ。

カラオケと聞くと、私のような若い女の子は、まあカラオケ館みたいな、カラオケボックスを思い浮かべますよね。


実際、一人カラオケなんて言葉が流行ったりしていたわけですし、まあまあ最近の人にはそれがスタンダードなのだと思います。


しかし、宇野くんは違う。宇野くんのカラオケというのは、みんなの前で歌う、オープンなカラオケ。


簡単にいって、バーやなにかで見るような、そういう大人なカラオケ。


なんで宇野くんが、そんなところで歌うかというと、母親がスナックを経営しているのだそうだ。


私は、たまたま父親と行く機会に陥り、宇野くんのお母さんが経営するスナックに行くことになった。


そういう場所は、別に子供禁制というわけではない。お酒だけしか置いていないわけではないし、まあ子供禁制な場所もあるという話だが、少なくとも宇野くんのお母さんが経営するそのスナックは、子供も大丈夫なお店だった。


そこで、宇野くんの歌うところをたまたまたまたま見れたのだけれど、なんというか、予想していた通りだった。


マイクを持ってジェスチャーしているだけで、顔も口も一つも動いてはいなかった。


じゃあ歌おうとするなよ。

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