あと3秒だけ。
第12章 お忍びデート。
思わず、涙が零れた。
『泣かないの!今日は、有紗を喜ばせたくってここに来たんだからっ』
親指で私の涙を拭ってくれる貴久の手を
私は握る。
今日は、ずっと貴久と居たい。
『・・・・・・たくない。』
『え?』
『今日は、帰りたくない。』
『・・・。』
『たっ、貴久さんが素直になっていいって…言ってくれたから、そ、その・・・っ。』
『有紗、行くよ。』
急に立ち上がり私の手を引き歩き出す。
『た、貴久さん?』
私の言葉を無視し、
どんどん歩いて着いた先は車。