あと3秒だけ。
第13章 貴久side
だから、転勤になって
単身赴任だからまた久しぶりに独身生活を
楽しめるんじゃないか。
そう思っていたんだ。
だけど、こっちにきて驚いた。
元々住んでいた県より、田舎であり
街を歩いてても可愛い子を見たことがなかった。
だから、俺は転勤先の職場に
期待をするしかなかった。
赴任した初日の朝礼では、
前に立つと社員の顔がよく見えた。
やはり朝だからか、みんな顔は死んでいて
俺の方を見るのは若手男性、新入社員くらい。
あとは、みんな視線を下に向け
めんどくさい。早く終わらないかな。
というような顔をしていた。
だけど、ふと端に並ぶ女性は俺を
じっと、見つめているのがわかった。
そう、彼女こそが上野有紗。
この時は、のちに彼女と関係を持つようになるとは思っていなかった。