あと3秒だけ。
第15章 ふたりの危機。
『へ、へぇ・・・。そうなんだ…』
『まあ、噂好きのおばさん達が言うことだから本当かどうかは、分からないんだけどね〜。しかも、神田代理に限って不倫とかありえないっしょ、ハハ』
『だよね、ありえないありえない…ハハ』
転勤だなんて、
そんなのありえない・・・ありえないよ・・・。
定時に帰宅する今日、水曜日。
いつもなら
貴久と会う曜日。
私が帰る時、貴久はまだ取引先から戻っていなくて
貴久に会えないまま私は帰宅した。
その日の夜、
無性に貴久の声が聞きたくて
今度は私から貴久に電話をした。