あと3秒だけ。
第15章 ふたりの危機。
『有紗早かったね〜、もう面談終わったんだ!』
席に戻ると、彩はまだ残っていた。
貴久の席を見ると、姿は無くて
取引先に訪問中のようだった。
『あ、ねえねえ有紗。ちょっとさ、おばさん達が話してるの聞こえたんだけどさ…』
彩は周りを気にしながら、
おいでおいでと私を招く。
彩の席に行き、私は彩の座る椅子の隣に腰を落とした。
『おばさん達が、噂してるんだけど…。神田代理、もしかしたら、来月転勤するかもしれないみたいだよ』
『え?、』
どういうこと?
転勤・・・?
『いや、何か不倫しているだとか・・・。どこから出た情報かは分からないんだけどね?』
ギクッとした。
ーーー不倫。