あと3秒だけ。
第16章 人目を盗んで。
『有紗?転勤はしないと思うよ。まだ俺自身何も聞いてないしね。でも、噂になってるんだね、ハハ』
胸がホッとした。
『貴久さん.....2人きりで会いたいです』
『有紗・・・』
『貴久さん・・・寂しいよ・・・』
ぎゅっと抱きしめて
頭を撫でて、
いつもの優しい目で私を見つめてほしい。
『有紗.....俺も寂しいよ』
『今から会えませんか…?』
『……待ってて』
ブチッ
勢いよく電話を切られた。
・・・“待ってて”?
少しすると貴久からLINEがきた。
【家の下にいるよ、降りてきて】
え!!