あと3秒だけ。
第18章 貴久side2
俺は車を猛スピードで走らせていた。
ついさっき、
妻のちえみのお母さんから電話があった。
『もしもし、貴久さん?
ちえみ、陣痛が始まったみたいなの。
先生に聞くと、まだ子宮もそこまで開いてないから今は一旦私達の家に帰宅してるわ。そうすぐ生まれるわけではないから、今度こそ出産に立ち会えるんじゃないかしら。』
病院まで、ちえみの実家からは
5分程度で行ける距離だ。
前回も、この病院で出産した。
一人目の子のときは、
仕事で立ち会えなかった。
あの時期は係長から代理に昇格したばかりで
慣れない仕事に残業ばかりだった。
ちえみからの電話にももちろん気がつかず
仕事が終わってすぐ向かったが
その時にはもう子どもは生まれていた。