あと3秒だけ。
第18章 貴久side2
急いでちえみのいる部屋に行くと
ちえみのお母さんがいた。
お母さんは俺に気づくと、
『貴久さん、私そろそろ帰るわね。
ちえみ、また明日来るからね。今日はお疲れさま』
そう言って俺に軽く会釈をして部屋を出ていった。
時刻は23時になろうとしていた。
『ちえみ…』
俺はベッドに横になるちえみの傍に椅子を引いて
そっと座る。
ちえみは、お産の疲れでぐったりとしていた。
『貴久さん・・・、お疲れ様ね』
ニコッと笑い、ちえみの手を握っていた俺の手を
優しく撫でた。
ちえみに『お疲れ様』と言われると
何とも言えない気持ちになった。
『ちえみ.....、よく頑張ったなあ…』
俺はちえみに『お疲れ様』とは言えなくて
『頑張ったな』としか言えなかった。
『ヘヘッ・・・、貴久さん私幸せだよ。』