あと3秒だけ。
第21章 あと3秒だけ。
今日が神田代理がこの店で働く最後の日。
いつもどうりに業務を終え、
近くのホテルに移動し
定刻より送別会が始まった。
神田代理が来たのは半年前の7月。
あの日、私はキラキラした神田代理の目が
離せなくて頭に焼き付いてて。
私はあの日、神田代理に恋をしたんだと思う。
私はビール瓶を持って神田代理にビールを注ごうとしている列の最後に並んだ。
もちろん、隣には彩がいる。
『はー、ついこの前注いだばかりなのに。
神田代理が転勤とか、さみしーなー』
『私、彩が寿退社するって言ったら寂しいなー』
『安心してっ!私、まだまだバリバリ働くつもりでいるから!!大丈夫だよ〜〜っ』
『ふふっ、なら良かった♪彩が居なくなると私寂しいもん。』
『有紗、何か素直だね〜ぇ。可愛い奴めっ』
“素直”・・・。
私、前より自分の気持ちに素直になれてるのかな。
うれしくて、ちょっと切ない気持ちになった。