君がいる風景
第1章 落とし物
しまったぁ……マジかぁ
それに気が付いたのは昼休みの時間
休憩室でぼんやり天井を眺めながら眠りに
つこうとしてた時、
今朝、ブレーキの調子が悪かった自転車の事を思いだした。
帰りにでもあのじいちゃんの店寄ってみっかな
元気でやってんのかなぁ、じいちゃん。
そんな事を考えながら
リュックのポケットを探っても指先にいつもの感触にふれない。
「ん?あれ?
どこいった?ねぇじゃん!!」
リュックをひっくり返してみても
カギらしいものはなぁんも出てこねぇし。
上着のポケットやデニムを探ってもやっぱおんなじ。
今朝は寝坊気味な朝で電車の時間ぎりぎりで
自転車置き場に滑り込んでおもいっきり走って
駅に向かったんだ。
「お疲れ、どしたの智?」
「お疲れさん、いやちょっと捜し物」
「ふーん。なに見つからないの?」
「ああ、自転車の鍵がさっ
やべえ…マジでどっかで落としてきたかも…」
「ドジだね、智って寝ながら歩いてそうだし
パン捏ねててもぼんやりしてるし」
「うっせぇわ!!」