君がいる風景
第12章 恋は虹色
「そうそう明日、新しいバイトが来るって
相葉ちゃんが言ってたわ。」
「ホントに?楽しみ。仲良くなれるといいなぁ」
「……ほどほどでよくね?」
「えっ?」
「翔ちゃんはきれいだから周りから注目浴びるし、
モテるだろうし、あんま仲良くなられると…
俺、うれしくねぇかも」
簡単に言うなれば嫉妬ってやつ
自分でも驚くくらい素直に口からこぼれ出たセリフ
そしたら両手で俺の手をぎゅっと握ってきて
智くんが1番仲良しで、1番好きだよって殺し文句
しかも、やや首を傾げる愛らしい笑顔
もう1度抱きしめると
かなり力任せだったみたいでキツくなり過ぎて
苦しいよって呻き声を上げる翔ちゃんがいた。
なんか、これって
まるで高校生みたいなピュアな恋愛してる?
ベビーフェイスって言われてた10代の頃
そんな見かけによらず実は童貞を卒業したのは
意外なくらい早かった。
いわゆる年上キラーみたいな
お姉様やら、人妻やらにやたらと持て囃された
時期があったりした。
たぶんあれが俺の人生で1番モテた時期じゃね?
だから、俺にとっては車は助手席側に乗り込む
ってことが自然に身についてて
ナンパする為に運転免許取得に必死な奴らの気持ちとか
これっぽっちも理解できなかった。
翔ちゃんとの今のくすぐったい関係は
俺には考えられねぇくらいスローペースな恋愛だと思う。