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君がいる風景

第6章 自覚



2人で夕飯を一緒に食って以来
俺らの距離はうんと縮まった。


翔ちゃんのマンションに自転車を停めてから
駅まで歩いて電車に乗ってからメールを送る。
朝晩のメールのやり取りに加えて、
2人で同じ時間に終われる日には一緒に帰るようになったりしてた。




俺の自転車をつかう時は必ずメールが届いて
使わせてもらうねってことわりのメッセージ。


仕事帰りに自転車置き場の横のちいさな祠で
2人で並んで手を合わせたりもする。


次の俺の休みの日には
翔ちゃんと一緒に晩飯を作る約束もしていた。




店での俺らの雰囲気も違ってきてるのか松潤が
鋭く指摘してきた。

「最近さ、智、なんか浮かれてない?
誰か良い人でもできた?」

「うるせえ、なんもかわをんねぇよ。
別に浮かれてねえし。俺のことはほっとけよっ!」

「ふーん、
翔くんともずいぶん仲良いみたいじゃん。
一緒に帰ったりしてるらしいね」

「最寄り駅が同じだからな。
どうだっていいだろ、俺らの事なんて!」

「はぁ?俺らってなんなんだよ!
翔くんって俺が誘ってもレポートがあるからとか
提出物が山積みだからって断ってばっかなのに
なんで智とは一緒に帰ったりするんだよ」


イケメンで男女問わず人気があるのが当たり前の
自信家。
自分の誘いに一向になびかない翔ちゃんのことが
不思議で気にくわないんだろう。



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