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君がいる風景

第11章 高鳴り


俺の部屋の乱雑に積み上げる本を見てここに
連れて来てくれたのかなぁって考えたりしたり


すこし距離が遠いなら
その分長い時間智くんと2人並んで歩ける。

この町のたくさんの思い出を目をキラキラさせ
ながら話してくれる。

たくさんのきれいな言葉をちりばめたり
流暢な語り口とかでなくって
言い淀んだり、言葉に詰まったり

擬音や大きな動作なんかも交えて当時の様子を
伝えてくれる智くんの情熱が伝わってきて
とっても素敵に見えた。



図書館からの帰り道


またすぐこの図書館に来たいなぁって考えてたら



自転車シェアの話持ちかけてきてくれたんだ。


さすがにそれはダメだよって遠慮したんだけど
酔っ払って泊まり込んだ迷惑行為をチャラに
してくれよなって
爽やかな笑顔を見たとき

ずきゅんと胸に刺さる矢の音が聞こえた



晩御飯まで一緒にって誘われて
ずっとドキドキして心臓がバクバクしてた。

ふわふわしてる足取りですこしだけ
智くんの後ろを歩いてると
立ち止まった智くんの視線が西の空を見つめてる

真っ赤に染まる夕焼け空を

しばらく2人で眺めてた


自転車置き場の横の小さな祠


並んで手を合わせて祈ってたことは

偶然の見かけた人
運命かもって思えたバイト先での出逢い
今こうして並んでる50センチ未満の距離感


どうかこの距離感がいつまでも保てる関係で
いられますよーに

こっそり薄眼を横の開けて智くんの方を見ると
智くんもかなり真剣な顔つきで祈ってた。



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