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第3章 ちくちく
翔くんと出会ったのは、小学6年生の二学期。
超中途半端な時期の転校ってのもあって
同じクラスの子からも不思議がられてた。
翔くんは、隣のクラスだったけど、
リーダー的な存在でいつも周りに友達がいたから、
転校してきたばかりの俺ですら知ってるような
目をひく存在だった。
ある日のお昼休み
やっぱりクラスにうまく馴染めないでいた俺は
中庭で日向ぼっこしながら本を読んでいた。
急に読んでいた本に影が落ちて
スッと白爪草の花冠を持った手が目の前に現れて。
ふっと顔をあげると、
そこにいたのは翔くんだった。
S「・・・これ、あげる。」
N「・・・くれるの?ありがとう」
そうお礼を言うと翔くんは顔を赤らめて
「お友達になってください!」って
ガバッとあたまを下げたんだ。
N「わ・・こちらこそ!!」
こんなことってあるんだ。
あの人気者の翔くんが
俺と友達になってくれるなんて。
嬉しくなって、ふふっと微笑むと
翔くんも俺の手をとって優しく笑ってくれた。
S「これからお昼休み、一緒に遊ぼ?
ぼく、1組の櫻井翔!翔ってよんでね!」
N「うん、知ってる!!ふふふ、翔くん!」
S「ごめん・・・君の名前も、教えてくれる?」
N「俺?2組のにのみやかずなり!よろしくね!」
そう答えた。
瞬間、翔くんは大きな目を
更に大きく見開いて固まり、
急に
S「おおお、男の子?!!!」
と叫び、口をパクパクとさせていた。
N「え、そう、だけど・・・・」
S「・・・・・。」
N「・・・翔くん?」
急に黙ってしまった翔くんを不思議に思い
繋いでいた手をひくと、
真っ赤な顔した翔くんに
バッと振り払われてしまった。
俺は何が起きたかわからずに
振り払われた手の意味を考えていた。
翔くんは、キっとこちらをにらみながら、
ふるふると肩を震わせ、
俺にこう怒鳴ってきたんだ。
S「なんだよお前男かよ!
女みたいな見かけしやがって!
あー!きもちわる!オカマじゃん!」
そういってどこかへ走っていってしまった。
残された俺は呆然として
走っていく翔くんの後ろ姿をみつめていた。