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第3章 ちくちく
ある日の体育の時間。
その日は運動会にむけて
クラス全員リレーの練習だった。
各クラス、タイム順に走者が並べられ、
俺は、最後から2番目の走者だった。
ちなみに体育は翔くんのクラスと合同な上、
翔くんは1組のアンカー。
渡す相手は違えど、毎回翔くんのいるところに
走っていくのがとにかく嫌だった。
「いちについてー、よーい・・・!」
パァン!
次々にバトンが回され、
いよいよ俺のところまで来た。
両チームほぼ同時にバトンパスをしたが、
アンカーのところには一歩リードで
俺がバトンを運んでいく。
いよいよバトンパスと言う瞬間、
なぜかインコースには翔くんがいた。
むこうがやべって顔したのと、
俺が翔くんを避けようとしたのがほぼ同時。
足がもつれそのままの勢いで
翔くんに激突してしまった。
ズザザッと砂ぼこりをあげながら
翔くんを押し倒すような形で派手に倒れこむ。
いてて・・・、と起き上がった翔くんの肘には
擦りむいたのか血が滲んでいた。
一瞬で血の気がひき、
すぐに翔くんの上から飛び退いた。
N「ごめっ「あー!!翔くん怪我してるーー!!」
俺が謝るよりも先に、
駆けつけた他の生徒が声を張り上げる。
翔くんの周りには心配する生徒が群がり、
俺はどうしよう・・・とオロオロしながら
それを見ていた。
すると生徒のひとりが俺に向かって、
「謝れよ!」と言ってきた。
そうなればどこからともなく
そうだそうだ!あやまれ!と同調する生徒が現れ。
"あーやまれ!あーやまれ!"
先生の静止もきかず、
ただただ俺に向けられる敵意。
俺はそのあやまれコールのなかを進み、
翔くんの前にまでいくと、
「ごめんなさい」と翔くんにあたまを下げた。
あたまを下げたら、
自分の膝から血が出ているのが見えた。
その赤を認識したとたん、
だんだんと視界が歪み、滲んでいった。
翔くんが何かを言ったような気がしたけど
周りの声で聞こえなかった。
もう顔をあげることもできなくて
翔くんがどんな顔をしているかもわからない。
N「 ごめんなさい・・・・。」
次の日から俺は、学校にいくのをやめた。