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第21章 かこのこ
#N
文化祭も終了し、まーくんたちも無事
準々決勝へと駒を進めた。
文化祭翌日の日曜日。
試合会場の最寄り駅で風間と待ち合わせ、
体育館に入ると、すでに体育館内は
独特の熱気と歓声に包まれていた。
K「うわ、始まってるじゃん!急ご!」
風間がパタパタといそいで駆け出したので、
はぐれないように追いかけた。
ギャラリーの人だかりをすり抜け、
風間が向かった先はどうやらうちの高校の応援席。
N「お、おい、ここいいの?」
いくら同じ高校とはいえ、いきなり
制服も着てない知らない高校生が座ってたら
誰だこいつら?みたいになるんじゃねーの?
K「だぁいじょぶだって!
あ!おばさん!おはよう!」
応援席に腰掛ける父兄さんたちの中のひとりに
風間が声をかけると、振り返った"おばさん"が
誰かさんにそっくりな満面の笑顔をみせてくれた。
「あら、おはよう俊くん。」
K「試合始まったばっか?ここ、いい?」
「うん、はじまったばっかり。
ここ座って一緒に応援して!」
K「ありがと。ほら、にの、こっちこいよ。」
少し後ろで様子を伺ってた俺に、
風間が手招きをすると、"おばさん"が
俺の方に視線をよこした。
「にの?ちゃん?」
あ、やっぱり。
N「あ…相葉くんのお母さんですか?」
「あらー!こんな可愛い子だったのね?
雅紀から聞いてたの、今日きてくれるって。」
N「初めまして、あの、いつも相葉くんには
お世話になってます…」
「ふふ、そんな堅苦しいこといいのよ。
どうせお世話してもらってるのは
うちのバカ息子だろうから!」
あはは、と相葉くんにそっくりの顔で笑うと
さぁ、座って!と席に座るよう手招きされた。