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第21章 かこのこ
準々決勝だというのに、試合は終始
うちの高校が圧倒的なリードを守ったまま進み、
スピーディな展開にぽかーんと眺めているうちに
あっという間に試合終了のホイッスルが鳴った。
N「すげー…やっぱうちの高校って強いんだな。」
K「選手、一旦こっちに引き上げてくるんじゃない?」
じゃあ席あけなきゃじゃん、と俺が立ち上がると
風ポン!と元気な声が頭上から聞こえてきた。
K「お、涼…ってええ?お前その足どうしたの?!」
涼「あは、疲労骨折ってやつ?」
振り向いた先のギャラリーにいたのは
松葉杖をつく女の子。胸にバスケの強豪で有名な
女子校の校章が刺繍されたジャージを着ている。
ギャラリーを離れ、通路に出た風間と
その子が仲よさげに話していると、
相葉くんのお母さんもその子に気づき、
りょうちゃーん、と手を振った。
その子もペコって頭下げてニコニコしてる。
なんとなく席に戻ることも出来ず
風間の近くでうろうろしてると
聞く気はなくても2人の会話が聞こえてくる。
K「疲労骨折って…お前ほんと加減しらねぇな(笑)」
涼「あはは、それ雅紀にも言われたよ。」
K「バスケいつから出来るの?」
涼「んー、とりあえず来月からはやりたいなって…」
K「それお前の希望じゃねーかよ(笑)
病院のGOサインなきゃ出来ねーだろうが!」
涼「だって〜…!」
相葉くんと風間の中学校の同級生とか??
親ぐるみってことは、この子も相当仲良かったのかな。
ぼんやりと所在無く通路の手すりに寄りかかってると
風間と涼さんの向こうから、
試合を終えたメンバーがこちらに向かってきた。
あ、まーくん。
昨日も寮で顔を合わせたのに、
ドキドキするのはいつもと違う顔してるからかな。
真剣な試合モードのまーくんが、
ふっと視線をこちらに寄越した、
と思ったんだけど
A「あ、涼。またウロウロしてんの?」
相葉くんの目が1番に捉えたのは俺じゃなかった。