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第21章 かこのこ




K「……の、おい、にの!」



肩を揺すられて顔を上げると

コートを指差した風間が

心配そうに俺の顔を覗きこむ。




K「……ほら、相葉くん。」



風間の指差した方向に目を向けるとまーくんが

ベンチから大きくこちらに手を振っていた。



いつのまにか第3クォーターが終わり、

両ベンチに引き上げている選手たち。

慌てて手を振ると、ちょうど笛が鳴り、

第4クォーターの開始を告げた。







K「なぁ、にの。やっぱりなんかあったろ?」



N「…ごめん、大丈夫。」



K「涼となに話してたの?」



N「…っなんで、」



K「ごめん。さっき2人が
自販機のとこで話してるの、見かけたんだ。」



N「……そっか。 」



K「…なぁ、なんか変なこと言われた?」



N「別に…。」



K「ふーん…まぁ言いたくないならいいけど。
試合はちゃんとみてやれよ?あの人試合中も
チラチラにののことみてたし(笑)」



N「…ごめん。」




俺に謝ってどうする、と風間が笑ったのと

コート上のまーくんと目があったのがほぼ同時。

ニカッと笑って走り出したまーくんに

痛いくらい胸がドキッとした。











リードを保ったまま、終了のホイッスルが鳴り

まーくんたちのチームもベンチも、

こちらのギャラリーも歓喜に沸いた。




表彰式までキチンと見届けた後、

まーくんのお母さんに挨拶し、

俺と風間は帰路についた。








駅に着くと、タイミングよく

俺が乗る予定の電車が

もうすぐ来るというアナウンスが流れた。




N「今日はありがとな。」



K「いや、こちらこそ。」



踵を返し改札を潜ろうとすると、

にの、ともう一度風間に呼び止められた。




K「今の恋人はお前なんだから、
あんま余計なこと考えて悩むなよ?」



N「……え? 」



そこで目の前のホームに電車が入ってきた。



K「ほれ、電車きたぞ。気をつけてな!」



トン、と背中を押され、

急いで改札を潜り電車に乗った。





走り出す電車の中、

風間の言葉の意味を考えていた。






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