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第25章 ひとひら
帰り道、ジッと涼が俺の首元を見つめて
こう言い放った。
涼「…そのスヌード、取りなよ。」
A「なんで?」
涼「なんでって、彼女嫌がるでしょ?!
他の女からもらったものを彼氏が身につけてたら!」
あぁ、そういうこと!
ていうか自分から俺の首にかけてきたくせに。
・・・ってことは?
A「まさかそれ目当てで買ったとか?」
涼「ふふふ、さぁどうでしょう(笑)」
A「こわっ(笑) 」
そっか、そうだよな。
しかも涼からもらったとか言ったら
余計かずくん嫌がるよな。
A「涼、悪いけど・・・」
涼「はいはい、
こちらは引き取らせていただきます。」
A「ごめん・・・。 」
涼「なんで雅紀が謝るのよ。
私が勝手にしたことだから気にしないで。」
A「・・・それもそうだな。 」
涼「なにー?!」
ギャハハと騒ぎあって、あっという間に
俺の家の前。
A「じゃ、気をつけて帰れよ。」
涼「ふふ、すぐそこだっての。」
A「明日から頑張ろうな。 」
涼「うん、頑張ろ!じゃあね。」
手を振って、涼を見送る。
かずくん、待たせちゃったけど、
ようやくかえってきたよー!
A「ただいまーーー!!」
涼のことも解決したし、
かずくんに話したいことがいっぱいだ。
乱暴に靴を脱ぎ捨てると、
はやる気持ちを抑えリビングに向かう。
A「ただいま!!」
「おかえりー。」
A「にのちゃんは? 」
キョロキョロと見渡すが、
そこまで広くないリビングには母さんがひとり。
「え?あんた一緒じゃないの?」
A「・・・は?」
「あんたから連絡きて、
先に帰ろうって車出そうとしたら、
にのちゃん"やっぱりここで待ちます"って…」
A「はぁ?!なんでそれ早く連絡くれないわけ?!」
「だってにのちゃんがサプライズで
待ち伏せしますっていうからー!」
A「・・・!」
「もー!あの小さい駅で普通見失うー?」
A「・・・俺迎えにいってくる!! 」
気をつけてねー?と背中に聞きながら
今しがた脱いだばかりの靴を引っ掛けて走り出した。