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第28章 あけおめ
#A
N「それでね、主人公の男の子の歌声がさ、
もうなんていうか、鳥肌もんでさ、
高いんだけど、腹の底から響くような、
で、英語の歌詞なのに
スッと頭の中に入ってきたっていうか…、」
ニューヨークから帰ってきたかずくんが
お土産を持って実家に遊びにきたのが、
1月5日のことだった。
ニューヨークはどうだった?
と軽く聞いた俺に対して、かずくんは
興奮冷めやらぬといった感じで、
現地で見たミュージカルショーについて
熱く語り出した。
N「"〜♪you will be found"」
A「へ?」
N「ショーの中で、主人公が歌ってたの。
そこが頭から離れなくて・・・!」
よっぽどそのミュージカルが気に入ったのか、
さっきからニューヨークでどこいったとか
そんなのそっちのけで、話す内容のほとんどが
ミュージカルについてのこと。
・・・こんなに何かに
熱くなるかずくんは珍しい。
いや、むしろ初めてみるかも。
A「どゆ意味?"あなたは探すでしょう"?」
N「自分の居場所は必ずある、って意味らしい。 」
自分の居場所・・・
ふふっとイタズラっぽく笑うと
俺があぐらをかいた股の間に
んしょんしょと移動してきたかずくん。
俺の腕をとって自分に巻きつけると
N「俺の居場所ー♡ 」
と言って笑った。
A「・・・。」
N「え?なんか反応しろよ。
俺めっちゃ恥ずかしいじゃん。」
A「・・・くふふ♡かーわーいーいー♡ 」
ぎゅうっと抱きしめればきゃっきゃっと
楽しそうに笑うかずくん。
そうだよ、かずくんの居場所はここだから。
・・・さっき感じた胸のざわつきは、
俺の中だけに留めておくね。