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第29章 なみなみ
#N
潤くんが変だ。
お互い夕飯も風呂も済ませ
背中合わせで勉強机に向かっていると、
イライラしているのかさっきから
貧乏ゆすりの振動が伝わってくる。
それと同時に、
カチカチカチとシャーペンを鳴らしては
パキッパキッと芯の折れる音が聞こえる。
N「・・・どしたの。」
背中に語りかけるとハッとした様子で
潤くんもこちらを振り向いた。
M「あ、ごめ…うるさかったよね。 」
N「いや、それはいんだけど…
珍しいじゃない?そんな状態なの。」
普段からスマートでカッコいい潤くんが、
って続けると、潤くんが困った顔で笑った。
M「いや、もうすぐ翔くんの誕生日じゃん?」
N「うん?ああ、そういえば。」
M「断られた。 」
N「うん。て、え?はぁ? 」
M「25日が平日だからさ、その前の週末に
どっか出かけようって話をしたんだけどさ。土曜日も日曜日も先約が、って断られちゃった。」
あの撫で肩野郎、なに考えてんだ。
M「ま、誕生日当日じゃないし?
俺も声かけるの遅かったから
しょうがないっちゃしょうがないんだけどさ。」
あの人何気に交友関係広いし、
ちょこちょこ地元の友達とっつって
土日も出かけることあるからなぁ。
でもなぁ・・・
N「先約ってだれなの?」
M「いや、わかんない…
教えてくれなかった。」
なるほど。それでイラついてたわけね。
デート断られた上に相手まで隠されたら、
そりゃいい気分はしないわな。