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第29章 なみなみ





充分すぎるほど念入りに部屋の掃除をし、

待ちきれず夕食を食べ終え、

なんならとっくにシャワーも済ませた。





寮の机に腰掛け、

ひたすらに潤からの連絡を待つ。



カッチ、コッチと響く

部屋の壁掛け時計の音がやたら耳障りだ。






なぜだ。潤よ、なぜ来ない。




バスケ部の練習ならとっくに終わってるはずだ。



まさか本気で俺の誕生日、忘れられてる?



いやいやいや、いやいやいやいや!



絶対にそれはない!






ならなんだ?

なぜここまで焦らす?!




A「・・・翔ちゃん、うるさい。」




S「あ、え?ごめん。俺口に出してた?」




A「そんなに潤に祝って欲しいなら
自分から部屋に行けば?」




すぐそこなんだから、と雅紀にまで

呆れたように声をかけられる。




S「いや、違うじゃん!
ほら、俺から祝ってーとか、お願いして
祝ってもらうとか、なんか違うじゃん!」





なんならプレゼントなんて望まないし。

可愛い可愛いあの笑顔で、

"翔くん、おめでとう"って、

それだけでいんだけどなぁ。





・・・もうすぐPM22:00。




A「・・・翔ちゃんはさぁ、
この前の土日なにしてたの?」





S「なにって・・・。」





A「だれといたの?どこにいたの?
なんで潤のこと断ったの?」




若干の怒気を孕んだ雅紀が

責め立てるように俺を質問責めにする。





S「なんでお前怒ってんの?」



A「別に。俺の知ったこっちゃないけど。
翔ちゃんに弄ばれて潤が可哀想。」




S「はぁ? 」





弄ぶ?なんのこっちゃ。





A「潤一人で満足できないなら、
さっさと別れてあげればいいのに。 」





S「おいお前、なに訳わかんないこと
言ってんだよ?」




なんだこの、まるでおれが

浮気でもしているかのような言い草は。






A「ひどいよ翔ちゃん!
そんなやつだと思ってなかった!!!」





S「だからなんの話!!!!! 」



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