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第29章 なみなみ
#S
今日は俺の誕生日。
寮でもクラスでも、友達からはおめでとうと
声をかけてもらった。中にはプレゼントを
ちゃんと用意してくれた友人もいたし、
それを見て俺が誕生日だと気付いた女の子たちが
お菓子やジュースをあげるあげると集まってきて
放課後には俺のカバンは
パンパンに膨れ上がっていた。
なのに肝心の潤からは、
直接会ってのおめでとうは愚か
メールですらまだ祝って貰ってない。
どうせ寮で顔を合わすから、と
普段からメールも電話も頻繁ではないけれど
こんな時くらいメールしてくれてもいいのに!
なんなら雅紀からは
0:00になったと同時にメールが来たんだぞ。
同じ部屋にいるくせに。
おもむろに携帯のロック画面を解除すると
松本潤とのメッセージルームを開く。
先週の土日を断ったやりとりが目に入り、
まさかな?と一抹の不安を覚える。
・・・。
まさかな!!
たった一度、デートを断ったぐらいで
ヘソを曲げるような潤じゃないだろう。
それにだ。
俺が断った土日に雅紀とにのと3人で
買い物に行ったのだって知ってんだ。
なんなら俺のプレゼントを買いに行くために
出かけたことだって雅紀に吐かせたんだからな!
ふはは、アレか?
焦らして焦らしてドンと喜ばせるっていう
潤なりの演出か?
それならそれで、のってやろうじゃないか。
"忘れられてるのかと思った〜!"なんて
安堵の表情でも浮かべれば潤は満足だろうか?
なんだかそんな風に考えてたら
急にたのしみになってきたぞ。
S「早く終われ〜バスケ部〜♫」
そうとなれば、と急いで寮に帰り、
部屋の掃除でもしながら潤の帰りを待つことにした。