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第31章 がらがら
*M
----コンコン、
M「おい、はいるぞ。」
A「んーー?あれ?どうしたの? 」
珍しく机に向かってた雅紀が
キョトンとした顔でこちらを振り返った。
M「…お前がこんなにも極悪非道なやつだとは
思わなかったよ。」
A「はぃい?なんの話?」
M「にののこと。お前ひでーやつだな。 」
それまで笑ってた雅紀が、『にの』って単語だけで
明らかに表情が曇った。
A「・・・にのちゃんからなんか聞いた? 」
M「お前に振られたって、
そんな詳しくは聞いてねーけど。」
A「ふーん・・・。 」
雅紀は俺の視線から逃れるようにまた机に向き直り、
勉強なんだかなんなんだか、ペンを走らせ始めた。
M「・・・なぁ、お前、
山田と斗真が付き合ってんの知ってた?」
A「は? 」
M「知らねーよなあ。
山田とまたより戻して付き合ってるなんて嘘、
ニノについたくらいだから。」
A「・・・。 」
M「にのが今日、
山田と斗真が手繋いで歩いてんの見つけて、」
A「・・・・。」
M「道の真ん中で山田に詰め寄っちゃってさ、」
A「うん・・・」
M「大変だったんだぞ、こっちは」
こちらを見ようとしないから、
雅紀の表情は窺い知れない。
でもなんだか間の抜けたその相槌に
沸々と怒りがこみ上げる。
A「・・・・・あとで涼に、
それから斗真もか。謝んなきゃなぁ。」
M「そうじゃねーだろ。」
A「・・・。 」
M「にのの気持ちはどうなるんだよ。」