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第32章 春和景名
N「 俺は見てるくらいでちょうどいいよ、
人前で歌うとか恥ずかしくて無理無理」
O「ふーん…て、あ、ここか?」
まぁ、おーちゃんにいわれたことも、
考えてなくもないんだ。
やっと、自分が夢中になれるものを
見つけられた気がして。
ただ、チビで華奢でこんな俺が舞台に立つなんて、
そんな想像ですら恥ずかしくて言えないけど。
N「あ、ここだね。どうする?講演前になんか食べる?」
講演開始まではあと20分から30分といったところか。
微妙に時間があるし、
すぐ近くにはファストフードのショップが
あちらこちらに軒を連ねている。
O「んー、じゃあホットドッグくらい
腹に入れてから入るか。」
N「いいね。 」
おーちゃんといる時間は楽だ。
無理に自分を着飾らなくていいし、
いい意味で気遣いがいらない。
誰と比べてるか、なんて自分でも考えたくないけど、
ドキドキしなくていい。心が凪いていく。
2人揃って少食だし、
近くのショップで購入したホットドッグを半分こして、
ドリンクだけを持って劇場に入場した。