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第33章 時雨心地



『おめでと〜また週末に!』


『元気にしてる?誕生日おめでとう!』


『誕生日おめでと〜、身長のびたか?』







6月17日の朝。

携帯には3通のLINEが表示されてた。



おーちゃん、潤くん、翔ちゃん。



日本の2人は一緒にいるんだろうな。

まったく同じ時間に送られてきたLINEに、

仲良くやっているようで笑みが溢れる。




それぞれに返信して、学校にいけば、

クラスメイトからもhappybirthday!と声をかけられ

中にはプレゼントを用意してくれる友人もいた。



アメリカに来たばかりの頃はアジア人というだけで

からかってくる奴らもいたし

小柄で色白な俺にあからさまな

嫌がらせをしてくる奴らもいた。



それでも、対等に会話できるだけの会話力を身につけ

彼らの言葉を理解できるようになってからは

徐々にそう言った奴らも友好的な態度で

俺に接するように変わってきた。



平日の今日は父さんの仕事が終わり次第、

家族で食事に行く予定。

友人からも家族からも祝福され、満たされた誕生日。





でもその中に、あいつだけがいない。




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