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第33章 時雨心地
夕方、父さんがいつもより早めに帰宅。
「息子の誕生日だって言ったら早く帰れって
急かされちゃって」
そんなとこもアメリカっぽいなって笑ってる。
「予約までかなり時間あるけど・・・出る?」
母さんが時計と父さんを交互に見て首を傾げる。
父さんが遅くなるとおもっていたもんだから
食事の予約は20時にしてあった。
「せっかくだし出ようか、
久々に家族水入らずの時間だし」
それもそうね、と母さんがルンルンで準備を始める。
よく言うよ。
先週末だって出かけたじゃねぇか。←
ニューヨークに来てあけっぴろげに
愛情表現をするようになった両親。
どこか気恥ずかしくたまに呆れながら
されるがままにその愛情を受けている。
N「でるってどこに?」
んー、と考えてた父さんは
「当日券取れるかわからないけど、行ってみるか?」
と言ってにやりと微笑んだ。
当日券、という響きで頭に浮かんだのはひとつだ。
N「行く!!」
早く準備しなさーい、と母さんが笑った。