more & more
第34章 飛花落葉
#A
「今回の学力テストは重要だからな。
第三希望までの大学を記入して提出するように。」
10月。
空も高くなり、朝晩と冷たい空気が肌を刺すように
襲いかかってくる季節になった。
A「へくちっ!!!」
M「おーおー、かぜか?うつすなよ?」
A「どーせ花粉症だわ・・・ 」
高校最後の年。
悲願だったインターハイ優勝、国体優勝を成し遂げ、
目標だった三冠まで、
残すはウィンターカップを残すのみとなった。
A「・・・じゅ〜ん、進路書いた?」
M「進路?まぁ、半分既定路線だし・・・ 」
A「んー・・・あ、まぁ・・・そっか。」
チームの主軸だった俺と潤には
インターハイの時点で有力校のスカウトから
オファーがかかっていた。
M「なに?帝城じゃないの? 」
A「あぁ、、まぁ・・・」
順当に行けば、現在大学日本一の帝城大学に
2人揃って推薦入試を受けることになっている。
つい数ヶ月前にNBAドラフトで一巡指名を受けた
日本人の話が話題となった。
もしかしたら自分も、
なんて甘いことを考えているわけじゃない。
ただ、どこかでもやもやと。
海外に想いを馳せる理由はそれだけじゃなく
先日ネットニュースでみつけた彼の記事も
少なからず影響しているのかもしれない。
よかった、とも、羨ましい、とも違う。
『俺はこのままでいいのか』という気持ち。
未練がましくもアメリカという土地に漠然と
憧れをいだいたまま、白紙の進路希望を眺めた。