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第8章 いじいじ



#A






A「 はぁ・・・。」


S「雅紀うるさい。部屋戻ってからもう3回目だぞ。 」


A「・・・ぶはぁ~~~!!! 」


S「うるせー!!! 」




机に突っ伏すと後ろから

背中越しに勉強中だった翔ちゃんにはたかれた。






ついさっきのこと。

突然にのちゃんが怒った。

そして

突然にのちゃんが泣いた。







A「にのちゃんに泣かれてしまった・・・ 」




S「そりゃあさ、にののコンプレックスじゃん、女の子みたいなの。女の子だったらとかいったらバカにされたと思うだろ。」



A「それ原因つくったの翔ちゃんじゃん。」



S「反省、はしてる。でもお前はわかってて傷口を抉るようなことをしたんだから、その分罪は重いぞ。 」


それに俺はもう時効だ!許しを得ている、と

なぜかドヤ顔の翔ちゃん。

くっそー・・・。






A「 ・・・はぁ。」

S「 はい5回目。」









自分でもなんであんなこといったのか

わかんないんだ。








にのちゃんが好きな人のことを思ってか

顔を赤らめて口をつぐんだ。




その仕草がとてつもなく可愛くて!

いいなあって思った。本気なんだなあって。



同時に、巣立つ雛鳥を見送るような

そんな喪失感がふっと顔を除かせて

チリチリと心が焼けるような感覚に襲われた。







触れたい、







そんな衝動に駆られ、

顔をあげさせた時の、あのうるうるの目に

吸い込まれるように全ての意識を持っていかれて。





A「・・・・はぁ。 」






この雛鳥を手放したくない。

そう思ってしまった。







それがなんであんな言葉に変換されたんだ。


俺の脳内変換機能はとことんポンコツだ。





A「夕飯のときにでも謝ろう・・・。」












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