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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第55章 何ぃ~、痴漢だと?

そんな話をしてると電車が来た
今日も満員か、座れないなこりゃ
ドアが開き電車に乗り込む

既にいっぱいな乗客なのに、僕らが乗り込むから更にギューギュー詰めだ!

「うわっ動けねぇ!」

「アタシも身動きとれない…」

僕らは電車の中で身体を密着しながら不自然な体勢のまま電車は動き出した
ドラマとかでよく見る満員電車のシーンてあるでしょ?
あんな感じで、直立不動で立ってられない!
何て言うか、かなり不自然な体勢で、しかも四方から押し潰されるような格好だから、まともに動けやしない…

「小野っち…あんま押さないで…苦しい…」

「オレ身動きとれん…しかも変な体勢だし…」

ただでさえ夏の暑さに加え、この満員電車の中は密着しているからくそ暑い
こんな時に限って社内のクーラーは微弱に設定してあったりする。
満員電車内のストレスってかなり凄いからね

「小野っち、変なとこ当たってるょ…」

波多野が小声で言ってくるのだが、僕は全く動けないし、これは不可抗力なのだから勘弁してくれ!

…って、待てよ、僕は波多野とは人を間に挟んだ場所にいるから波多野に触れる距離じゃないぞ?

「おい、オレ触ってねぇぞ…」

小声というかギューギューに押されて苦しい声で波多野の方に顔を向けた

「違う…誰かアタシのお尻触ってる…」

波多野が顔を赤らめながらボソッと呟く
(何っ、痴漢?いや待てよ、この状況だから触れてしまうのは仕方ないだろ)

その瞬間電車がガタンと揺れて中の乗員達もガクンと動く
おっと、揺れる!ってな感じで

で、僕はその揺れの隙に波多野の背後へ瞬時に回った

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