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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第67章 あの、ビールください…

この店は巨人ファンで、店内にジャイアンツグッズがあちこち置かれていた
メガホンやペナント、選手のサインも飾られていた

この年、阪神タイガースは驚異的は破壊力で相手チームのピッチャーをことごとく打ちまくった

トップバッターの真弓
3番は史上最強の助っ人、三冠王のバース
4番はミスタータイガース、掛布
5番はこの年、バースに次ぐ高打率を誇った岡田

巨人の槙原から放ったバース、掛布、岡田の三連続バックスクリーンのホームランはこの年の勢いを象徴する名場面として語り継がれている

「じゃ、小野っち、はい」

そう言って波多野は僕にビールを注いでくれた

「あ、じゃあオレも」

僕も波多野にビールを注ぐが、波多野のように上手く注げず、泡だらけになった

「泡ばっかだよ、これ~」

波多野が笑いながら自分でビールを注いだ

何せ酒なんて飲んだの中1の時以来だ
まぁあの後バレてえらい怒られたんたが

「はい、じゃあカンパーイ」

「ほい、カンパーイ」

波多野は一気にビールを飲み干した

「あぁー、美味しい!」

満足げな表情で次のビールを注ぐ

「あら、お嬢さん随分ビールの味わかってるねー、じゃあオバサンもう一本だけ許可するよ」

「わぁ、ありがとうございます」

僕もコップの中のビールを飲んだ
苦ぇ…どこが美味いんだろ?

「あらあら、お兄ちゃんはビールはまだかな。それ飲んだらジュースでも頼みなさい」

オバサンに言われ、僕はサイダーを頼んだ

しかしいつの間に波多野は酒を飲むようになったんだ?

「アタシね、実は中2の頃から少し飲んでたんだ。あ、お母さんの前なんかでは絶対に飲まないよ!親戚とか集まると、アタシにビール飲ませようとするオジサンがいて、初めて飲んだらなんか美味しくってね。それからたまに飲むようになったの」

はぁ、意外にも波多野がビールとはねぇ

「はい、焼き餃子と水餃子おまちどうさま。水餃子はこの酢をかけて食べてね」

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