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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第75章 工業科のヤンキーが絡んでくるから

ある時、食堂に行こうとしたら、工業科のやつらが「タンタン!」と乾いた舌打ちをしていた

ふとその方向に目をやると、こっちを見て手招きしている

(誰だコイツは?)

当時のヤンキーは人を呼ぶときに名前を言わず、舌打ちで大きな音を出し、その方向を振り返り、目があったヤツを呼びパシりにするのがお約束だった

工業科の校舎と食堂は隣接していて、食堂を通るのに工業科の校舎を通らないと行けないのである

僕は舌打ちしたヤンキーのいる教室まで呼ばれ

「おい、コロッケパンとコーラ買ってこい」
と僕をパシりにしようとした

は?何言ってんだ、コイツ?同じ一年生でくそ生意気なヤツだ!
と思い

「パン?その代わりオレの分まで出せよ」
と言って手を差し出した、買ってきてやるから金は出せよ、という意味だ

するとヤンキーは

「あぁ?テメ今何つった、おいっ!」

まぁ、早い話が工業科の連中はヤンキーで、僕たち普通科の連中はお坊ちゃんに見えたのだろう
そんなもんだから、普通科のヤツをパシりにしてやれってな感じで僕を呼び止めたみたいだ

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