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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第20章 負けたけど得たものは多かった

まぁ、それはかなり大目玉食らったんだけど、とうとうこの日が来た!

バタフライを泳ぐのは、全クラス合わせて5人、その中で一位になるのはオレだ、

他のクラスは水泳経験者で、僕だけが、バタフライ初心者だった…

(こりゃ、いい恥さらしになりそうだ)

でもこの夏休み期間、ずーっと水に浸かりっぱなしな日々でそれなりの自信もついた…

【ヨーイ】

スタート台に立つ

【スタート!】

勢いよく飛び込んだ!

飛び込みの勢いを利用して、バサロのうつ伏せのように水中でウネウネと動く…いい感じだ!

そして上体を起こして水をかく、ドルフィンキックも問題ない…これなら一位になりそうだ!

僕は必死で泳いだ、周りを見ている余裕なんてない

とにかく目の前にあるゴール目掛けて泳ぐのみ

ザッパァーン、ザッパァーンと上体を起こす度に水をかく音しか聞こえない…



もう少しだ、もう少しでゴールだ!

ラストスパートをかけて、最後はおもいっきり上体を上げ、両手で25㍍の壁をタッチした

【うぉ~っ!】

何だ、何がどうなったんだ?オレは何位なんだ?

【スゲー、小野っちバタフライマスターしてら!】

…同級生の声が聞こえた、てことは一位なのか?

しばらくゴール地点でゼイゼイしながら動けなかった

残念ながら僅かタッチの差で僕は二位になった…

「クソッ!」

僕はしばし水の中で呆然としていた…あんだけ練習したのに二位なんて…

多分今までで一番悔しい思いをした瞬間だった

プールサイドから拍手と声援が起こった

「小野っち、スゲーじゃんかよ!」

「マジでバタフライマスターしたのかよ!」

「惜しかったなぁ!」

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