テキストサイズ

1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第20章 負けたけど得たものは多かった

同級生は僕の事を讃えてくれていたんだ…あんなに今まで毒づいていた僕を…

僕はプールから上がり、すぐにスタート地点の後方にある、目を洗う用の蛇口を捻った

目を洗うというより、涙を洗い流した…

くそっ!何で一位じゃないんだ!

やり場のない悔しさをどこにぶつければいいのか…

その後はクラス別にプールサイドに陣取った場所の後ろにある金網にもたれかかるようにして、その後の競技を眺めていた

負けた…悔しい…
頭の中はその事だらけだった…

「小野っち、スゲーな、いつの間にバタフライ覚えてたんだよ?」

「もうちょっとだったのにねぇ、でもよく頑張った」

皆が僕に近寄って労いの言葉を掛けてくれる…

「う、うん…負けたけど」

僕はただ下を向いて、皆の顔を見るのが怖かった…

【あんだけ偉そうな事言って結局二位かよ!ダセー、ヤツだな!】

とか

【一位になれなかったんだから、お前が土下座しろよ!】

何て事を言われると思っていた…

だが、実際は僕が泳いでる間、皆は声援を送ってくれてたみたいだ

あぁ、僕はホントにバカだった…

この連中を小バカにしていた自分が恥ずかしいのと、一位になれなかった悔しさで、また涙がこぼれ落ちた

泣いているなんてカッコ悪い姿を見せられないように、僕はただ下を向いていた、泣き顔なんて見られたくないからね

ストーリーメニュー

TOPTOPへ