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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第32章 そこそこの高校生活をエンジョイ出来れば

中学で一旦リセットして、高校で生まれ変わる、何て事は不可能だ

高校でヤンキーの溜まり場のような学校で友人なんてできっこない
頭の中でいくらシュミレーションをしても、そこそこに勉強して、そこそこにスポーツをして、そこそこの薄っぺらい人間関係しか築かない、面白みの無い高校生活がスタートするだろうとね

通学の時、駅でかつてのクラスメートをチラッと見るだけで電車のドアは閉まり、クラスメート達とは反対方向の、僕の事を誰も知らないヤツラと共に教室で席に座り、会話すらまともに出来そうもないヤツラに囲まれ授業を受ける

(これでいいのか?これが自由なのか?)

こんなことをウジウジと悩み葛藤しながら過ごす高校生活に何の希望があるのか?

入学式まで後僅か
【ここでいいのかお前は?お前の行きたい学校はここでいいのか?】

でも当時は答えなんて出ない
いや、今でも答えは出て来ない

【自由になりたきゃウソ偽り無く、後ろめたい気持ちもない正直な人間でいる事だ、お前にそれが出来るのか?】

いくら考えてもこの答えになる
僕はそこそこ楽しければいいんだ
そこそこの幸せとそこそこの友人を手にいれ、高望みはせずに普通よりもちょっとスリリングな高校生活を味わいたいだけなんだ

結論として出たのは、僕はS学院に入学して【そこそこな生徒】として、波風立たぬよう平穏無事に高校生活が終わればいいと思っている


【自由を手にするにはあまりにも後ろめたいし、ウソ偽りだけの過ごし方をしていた。だから自由なんていう言葉を口にするような立場ではない】と
身体の中から抑えきれないようなもどかしくも、苛立ちにも似た感情が蠢いていた

(そろそろ入学だ。入学式してまずはここの学校がどんなもんなのか周囲を見渡し、高校生活が続けられそうか、それとも無理と判断した場合は編入云々に関係なしに辞めようと!)

この頃は腹を括っていた
良ければ続行、ダメなら学校を辞める

そう決心して僕は入学式に向かった

自由になれるかどうか

ウソ偽りのない学校生活を出来るのかどうか?



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