シロタさんとクロノさん
第1章 白と黒の来訪者
シロタさんとクロノさんを居間に通し、私は麦茶を二人に差し出しました。
よほど喉が乾いてたのか、クロノさんは麦茶をゴクゴクと一気に飲み干し、「もう1杯」とどこかのCMみたいにコップを机に置いて私に催促してきました。そして三杯飲んで落ち着いたのか、無愛想だった顔が少し緩みました。
「綺麗に片付いてるね。涼子さんの部屋はグチャグチャだったけど」
「母の名前っ──」
「うん。オレたち、ずっと涼子さんと住んでたんだ」
「ええっ!?」
まさか母と住んでたなんて──!
「ルームシェアしてたんだよ、家賃と生活費は涼子さん持ちで。代わりにオレたちが家事や涼子さんの身の回りの世話をしてたんだ」
「ええっ!」
二度ビックリです。
そして少し恥ずかしくなりました。
確かに母は昔から家事は得意ではありませんでした。
「母がお世話になりました…」
「いやいや、世話になったのはオレらだから。涼子さんが声かけてくれなかったら、今ごろオレたちは──」
そこまで言いかけて、シロタさんは口を閉じました。
「?」
「だからね、今度はオレたちが涼子さんの力になりたいんだ。涼子さんと涼子さんの娘の、かのんちゃんのために生きたいって思ったんだ」
私や私の母のために……生きたい?
「涼子が言ってた、かのんは本当はすごく寂しがってるはずだからと」
クロノさんが真っ正面から私を見て言いました。
『本当はすごく寂しがってるはず…』
なぜだかその言葉を聞いたら、クロノさんのことを怖いと感じませんでした。むしろ目頭がじんわりと熱くなって…。
「かのんちゃん?」
私は思わず泣いてしまいました。
今さっき会ったばかりの人たちの前なのに…。
「ご、ごめんなさっ…」
ポロポロと涙が止まりません。
大丈夫ってずっと思ってたのに、涙はどんどん溢れてきます。
「…うっ…ひっ…」
私が急に泣いたから、きっと二人とも困ってるに違いありません。
早く泣き止まないと──。
よほど喉が乾いてたのか、クロノさんは麦茶をゴクゴクと一気に飲み干し、「もう1杯」とどこかのCMみたいにコップを机に置いて私に催促してきました。そして三杯飲んで落ち着いたのか、無愛想だった顔が少し緩みました。
「綺麗に片付いてるね。涼子さんの部屋はグチャグチャだったけど」
「母の名前っ──」
「うん。オレたち、ずっと涼子さんと住んでたんだ」
「ええっ!?」
まさか母と住んでたなんて──!
「ルームシェアしてたんだよ、家賃と生活費は涼子さん持ちで。代わりにオレたちが家事や涼子さんの身の回りの世話をしてたんだ」
「ええっ!」
二度ビックリです。
そして少し恥ずかしくなりました。
確かに母は昔から家事は得意ではありませんでした。
「母がお世話になりました…」
「いやいや、世話になったのはオレらだから。涼子さんが声かけてくれなかったら、今ごろオレたちは──」
そこまで言いかけて、シロタさんは口を閉じました。
「?」
「だからね、今度はオレたちが涼子さんの力になりたいんだ。涼子さんと涼子さんの娘の、かのんちゃんのために生きたいって思ったんだ」
私や私の母のために……生きたい?
「涼子が言ってた、かのんは本当はすごく寂しがってるはずだからと」
クロノさんが真っ正面から私を見て言いました。
『本当はすごく寂しがってるはず…』
なぜだかその言葉を聞いたら、クロノさんのことを怖いと感じませんでした。むしろ目頭がじんわりと熱くなって…。
「かのんちゃん?」
私は思わず泣いてしまいました。
今さっき会ったばかりの人たちの前なのに…。
「ご、ごめんなさっ…」
ポロポロと涙が止まりません。
大丈夫ってずっと思ってたのに、涙はどんどん溢れてきます。
「…うっ…ひっ…」
私が急に泣いたから、きっと二人とも困ってるに違いありません。
早く泣き止まないと──。