シロタさんとクロノさん
第1章 白と黒の来訪者
バサッ…
「…っ?」
一瞬、何が起きたかわかりませんでした。
突然私の頭を隠すように上から黒い布をかけられ、視界が暗くなりました。
「思いっきり泣いていいよ。オレたちは席を外すから」
シロタさんの優しい声が聞こえてきました。
私の頭を覆い隠してるのは布ではなく、クロノさんのスーツの上着でした。
パタン…と戸が閉まる音がしました。
私はクロノさんの上着を掴み、思いっきり泣きました。
母がアメリカに行った時、父と別れた時、おばあちゃんが死んでしまった時、ずっと…ずっとずっと泣くのを我慢していました。
泣いてもどうにもならないことがわかっていたからです。それに「寂しい」と言ったら母を困らせてしまうと思ってました。
でも母は私の気持ちを知っていました。
こんなに長い間離れて暮らしているのに、母は私の気持ちを察してくれたんです。
「お母さん…」
その時フワリと、クロノさんの上着からラベンダーの香りがしました。この香りは母がよくつけてたコロンの匂いと同じです。
「……」
不思議です、母に抱きしめられてるような感じがします。
しばらくクロノさんの上着を抱きしめていると、居間の扉が開きました。
「メシだ、飯」
「…っ!」
私はビックリして思わずクロノさんの上着をグシャッとしてしまいました。
「…」
「ご、ごめんなさいっ!」
私が慌てて上着を広げてシワを伸ばすと、クスッとクロノさんが笑いました。
あ…クロノさんも笑うんですね。
「ごめんなさい、あの…クリーニングして返しますから!」
「了解」
クロノさんは別に怒ってる様子ではありませんでした。良かったです。
「さあ、朝御飯にしよう」
そこへ美味しそうな匂いとともに、シロタさんがお盆に味噌汁を乗せて持ってきました。
「えっ、あの…」
「勝手にキッチン使わせてもらったよ」
シロタさんは手際よくテーブルに味噌汁とご飯とおかずを並べました。
どれもすごく美味しそうです。
「…っ?」
一瞬、何が起きたかわかりませんでした。
突然私の頭を隠すように上から黒い布をかけられ、視界が暗くなりました。
「思いっきり泣いていいよ。オレたちは席を外すから」
シロタさんの優しい声が聞こえてきました。
私の頭を覆い隠してるのは布ではなく、クロノさんのスーツの上着でした。
パタン…と戸が閉まる音がしました。
私はクロノさんの上着を掴み、思いっきり泣きました。
母がアメリカに行った時、父と別れた時、おばあちゃんが死んでしまった時、ずっと…ずっとずっと泣くのを我慢していました。
泣いてもどうにもならないことがわかっていたからです。それに「寂しい」と言ったら母を困らせてしまうと思ってました。
でも母は私の気持ちを知っていました。
こんなに長い間離れて暮らしているのに、母は私の気持ちを察してくれたんです。
「お母さん…」
その時フワリと、クロノさんの上着からラベンダーの香りがしました。この香りは母がよくつけてたコロンの匂いと同じです。
「……」
不思議です、母に抱きしめられてるような感じがします。
しばらくクロノさんの上着を抱きしめていると、居間の扉が開きました。
「メシだ、飯」
「…っ!」
私はビックリして思わずクロノさんの上着をグシャッとしてしまいました。
「…」
「ご、ごめんなさいっ!」
私が慌てて上着を広げてシワを伸ばすと、クスッとクロノさんが笑いました。
あ…クロノさんも笑うんですね。
「ごめんなさい、あの…クリーニングして返しますから!」
「了解」
クロノさんは別に怒ってる様子ではありませんでした。良かったです。
「さあ、朝御飯にしよう」
そこへ美味しそうな匂いとともに、シロタさんがお盆に味噌汁を乗せて持ってきました。
「えっ、あの…」
「勝手にキッチン使わせてもらったよ」
シロタさんは手際よくテーブルに味噌汁とご飯とおかずを並べました。
どれもすごく美味しそうです。