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幸せの欠片 *超* 番外編

第3章 お墓参り


こうしていると、1年前の事が嘘みたいだ


思い出したくもない、あの日

俺の腕の中で、その儚い生涯を終えてしまった日

後にも先にも、もうあんなに辛い思いはしたくないと思う

…かずがいなきゃ、もうする事はないけれど



必死に記憶から隠していた光景が脳裏に浮かぶ

その瞬間、鼻の奥が痛くなった



「…どうしたの?」

急に黙り込んだ俺の前に、かずが心配そうに立った

「あ…、いや…思い出しちゃって」

「俺が死んだ日?」

だからあっさり言うなって

大切な人を目の前で失う辛さは、尋常じゃないんだから

……って

その人が、幽霊とは言え目の前にいる場合は、どうリアクションすれば良いのだろうか


「あのね、相葉さん」

かずが俺の顔を覗き込む


「俺は、幸せだったよ?」

「え……」

「最期に、大好きな人の腕の中で死ねた」

だからそれは……

死んでしまったら意味がないんだって、分からないかな

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