
碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~
第3章 青空と共に・・・流れる雲
『申し訳ありません・・・』
私の実家に到着するなり
家に…玄関にさえ上がることなく
その〃敷居〃を
跨ぐことなく
開口一番
優人は
玄関で出迎えた
私の父に
大きく頭を下げて
そう言いました
『?!・・・ちょ・・・ちょっと』
私は慌てふためきました
だって…事情はどうあれ
状況がどうあれ
私の両親と面識のない優人
私は両親に…ほとんど
ろくな事情の説明もしていない
ただ突然…それも上京して僅か数日で
舞い戻るように帰ってきたのだ
しかも・・・男性を・・・連れて
さすがにここは…私が彼を
両親に紹介するところ・・・
けれど優人は
その〃宣言〃を象徴するかのように
ここでも
ここでさえも
私に何も言わせない・・・
・・・と言うよりは
〃私に行動(なに)も求めない〃
そんな意思を見せていたように思います
〃隣(そこ)にいるだけでいい〃
その言葉を貫くように
初対面・・・の
私の父に…突然頭を下げた優人
『約束を・・・破りました
申し訳ありません・・・』
『・・・』
『???』
〃約束・・・?〃
優人は…二言目に父にそう告げ
再び頭を下げて陳謝する
約束・・・って何?
そもそも、それ以前に・・・
『お嬢さんに・・・
〃まりあさんには…二度と会わない〃
その約束を破り…更には
このような無礼をはたらいたこと
本当に申し訳ありません・・・』
『・・・』
初対面・・・のはずの・・・父と優人
私は…この時に初めて
過去、優人と父が接触した事がある
その事実を・・・知りました
そして、そのような事が起こりうる
そんな瞬間(とき)と言うのは
過去をさかのぼれば
おのずと・・・絞られてくる
さすがに緊張感を隠せない
強張った表情の優人
私は…この時に
過去、優人が…ひとり
その背中に負ってきた
〃十字架〃のようなものを
ひとつ・・・知ったのです
