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僕らの歪な経験値

第3章 中る

翔 side







その躯幹に噛みつきたい衝動を抑えて、窓の方に目をやった。






二宮が言っていた。



デートでも誘ってやれ、って言ったって。



だから、大野は好きな人をデートに誘うんだろう。





翔「それってデートってこと?」



智「……あ、うん。そうなるかな…」



大野は恐る恐る答える。



翔「ふざけんな!」



ふざけんな!
ふざけんな!



翔「俺でデートの練習しようってか」



好きな人の為に、俺とデートみたいなことするんだろ!



智「え。なんのこと?」

翔「わかるだろ!」



俺は大野がくれた折り紙を床にばらまいた。



翔「お前、本命いるんだろ?それなのに俺と寝て。今度は俺でデートの練習すんのか?」



智「ちょっと待って。何言って……」



俺は大野の顔を掴んだ。



ギリギリと力を入れてると、くぐもった声が聞こえた。



翔「どこまで俺をコケにすれば気が済むんだ!俺のこと弄びやがって!」



俺は力を込めて、大野の頭をベッドに投げつけた。



翔「俺のことなんとも思ってないくせに!簡単に体を開いて……。この淫売が……」



涙が出てきた。



ポロポロとその雫が床に落ちる。



翔「お前なんか……抱くんじゃなかった……もう…イヤだ……」



俺は床に這いつくばって泣いた。



もういい。



もうやめる。



こんなにしんどいならやめる。



あなたのこと好きになんてなるんじゃなかった。







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