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イチャコラミックス

第5章 精霊彼女の良い土

香田リョウは童貞ではない。

「え、そうなの?先輩じゃん。」
松井が目を見開いて香田を見る。
ショックを受けたともとれるその表情を見て、次朗は満足気にニヤリと笑った。

「そうそう、たろちゃんと兄さんよりずうっと先をイってるんだよ、リョウちゃんは。」
「…あの、その話題勘弁して貰えます?」
香田は顔をひきつらせ、次朗を見た。
「二人がなかなか先に進まないからさ、刺激を与えてあげようと思って。」
「お二人と俺の過去を比べたって仕方ないでしょ?先生達は真剣に相手を思ってるからこそ…」
香田はそう言い表情を曇らせる。
「次朗、お前はいつも軽率過ぎる。」
晴一はそう言いながら席に座った。
「話題を変えよう。昨日濁天に行ったら…」


昼休みに調理準備室で繰り広げられる、たわいもない会話。
それは彼ら四人の日課のようになっている。

香田は本校の生徒。三年生で生徒会長、園芸部の部長もしている。筋骨隆々で醤油顔の熱い男。
次朗も一応本校の生徒。二年生。化粧しなくてもヴィジュアル系、なんかいつもいい匂いがする。それは彼が淫魔の血をもつ百二十一歳だから。
松井は本校の図書館司書。教員免許もあり、たまに代理で教壇に立つ事もある。
晴一は本校の家庭科教師。爽やかを絵に書いたような青年で、新任ではあるが生徒達に慕われている。

こんな四人の共通点、それは言わば『地球防衛軍』。
え、大袈裟?だってそう言った方がカッコイイじゃん!
…いや、ま、ね。防衛軍まで行かなくても陰ながらそれぞれの持つ特殊能力で人類を守っている、そんな存在である。

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