テキストサイズ

ジッパー様

第18章 疼く身体

 気づけば私は、また喫茶店の前にいた。夜なのに、玄関の明かりはついていない。誰もいないのだろうか?


 あれからまだ二週間しか経ってない。でももう長いこと、ジッパー様に会ってない気がする。


 私は裏口のドアが開いていないか確かめてみることにした。


「あ……」


 裏口のドアの前には、脚の折れた木の椅子が転がっていた。確かリコさんが『怪我するかもしれないから近づかないように』と言っていた。


「ずっとここにいたんだね……可哀想に」


 せめて脚を直してあげたい。
 私はコンビニでガムテープを購入すると、喫茶店に戻って椅子の脚を補強した。


「ごめんね。こんなんじゃ、またすぐに折れちゃうかもしれないけど……」


 そう言って去ろうとした時、足首を何かに掴まれた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ