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ジッパー様

第19章 真実

 私はジッパー様に気に入られてるって言ってたけど、もしジッパー様に愛されているとしたら……。


 怖いけど、ジッパー様を受け入れたい。
 受け入れて、助けてあげたい。


 少しでも元の姿に戻ってくれたら……。


「気持ちは決まったかしら?」


 私はいちごに振り向いたあと、コートを脱いだ。


「しばらく二人きりにしてほしい」

「ええ、いいわよ。存分に楽しんでちょうだい」

「もし私に何かあったら……」


 片桐部長は悲しむだろうか……。


「大丈夫。片桐部長にはあたしと一緒にいるって伝えておくわ」

「うん……お願い」


 いちごとリコさんは部屋から出て行った。


「ケホッ……」


 血の臭いで頭がクラクラする。
 この人は一体、何人の命を奪ったんだろう……。


 ううん、きっと奪いたくて奪ったんじゃない。
 私にはわかる。
 彼は泣いている……。



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